社会保険労務士 SATOH's オフィス
有期雇用労働者を、正社員より賃金が安いという理由だけで雇用し、正社員と同じ仕事をさせていませんか? 要らなくなったら簡単に辞めさせられるという理由で、契約更新を繰り返しながら長期間にわたって使用していませんか?
こういうことが雇用状態の不安定な労働者を多数生んでいます。 有期雇用労働者を使用する本来の趣旨は、一定期間だけ労働力の需要増が見込めるが、その後不要になることがある程度予測できている場合に、その一定期間だけの労働力として労働契約を結ぶ、というものです。 一定期間を超えてさらに継続が必要なら期間を定めない労働者として雇いなさい、というのが法改正の趣旨です。
その一定期間は原則5年と定められました。(高度専門職や60歳以上の高齢者等には例外が設けられています)
有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できます。
・自動的に無期雇用になるのではありません。 労働者の申込みが前提です。 ・正社員と同じ処遇にする必要はありません。 今までと同じ労働条件で、期間だけ無期にすればよいのです。 ・無期転換の申し込みをしないことを条件とする労働契約は違法であり、無効になります。
無期転換ができる場合を図示すると、次のようになります。
契約期間の間に6ヵ月以上の空白期間がある場合は、その前の期間は通算期間に含めません。
無期労働契約にしたくなかったら5年になる前に契約を解除(雇止め)すればいい、と思っておられる方が多いかも知れません。
従来から、次のような場合には契約更新拒否は無効とする、という最高裁判例がありました。 これが労働契約法の条文になりました。
・過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが通常の解雇と同視できると認められるもの ・労働者において、有期労働契約が更新されると期待することについて合理的な理由があると認められるもの
同じ使用者の下で働いている有期雇用労働者と無期雇用労働者で、同じ仕事をしているのに、有期雇用であることだけを理由として不合理に労働条件に差をつけることは禁止されます。 合理的な理由があれば差をつけても問題ありません。
Q:どうして賃金が安いの? A:だって彼は契約社員だから これはダメです Q:どうして賃金が安いの? A:簡単な作業だし責任も負わせてないから これなら問題ありません