Q:残業をさせるときに従業員の承諾は必要ですか?
A:従業員の承諾は不要です。残業を命じられた従業員は、正当な理由が無ければ断ることができませんし、拒否すれば懲戒処分の事由にもなります。
正当な理由とは家族の病気やケガなどであり、飲み会や趣味等は正当な理由とは言えないでしょう。もっとも、会社側に十分な必要性と緊急性がない
場合は命令自体が正当とは言えませんし、就業規則に残業に関する記述が無かったり、36協定を結んでいない場合の残業命令は違法です。
Q:終業後のアルバイトや副業をやめさせられますか?
A:従業員が労働義務を負うのは就業時間内だけで、使用者は終業後の行動に干渉することはできません。ただし、アルバイト等による疲労のために欠勤・
遅刻など就業に影響があれば禁止することができます。就業規則で禁止してあっても、直ちに処罰するのはトラブルの元です。よく話し合いましょう。
Q:セクハラ対策はどうすればよいでしょうか?
A:厚生労働省からの指針が出ていますので、その一部を下に例示します。 就業規則に明示して従業員の意識を高めることが重要です。
・セクハラ防止の方針を明確化し、社内報などを配布して周知、啓発する
・就業規則でセクハラの加害者に対する処分を明確にする
・相談窓口を設置し、担当者を配置する
・事実関係を迅速かつ正確に確認するとともに、その事案に適切に対処する
Q:事後に申請された有給休暇は認める必要がありますか?
A:労働基準法上は、有給休暇は会社が時季変更権を行使できるよう事前申請が必要なので、事後に申請された有給休暇を認める必要はありません。
しかしながら、急な病気等のやむを得ない事由の場合は運用上認める方が一般的のようです。ただし、寝過ごして遅刻しそうだから有給休暇にすると
いったことまで認めることは、会社の規律維持という観点からも望ましくないでしょう。こういうことも就業規則に定めておくといいですね。
Q:会社が休業日と定めた日に申請された有給休暇は認める必要がありますか?
A:有給休暇申請のタイミング次第です。有給休暇は労働義務がある日に取得するものです。したがって、会社が経済的事情等で特定の日を休業日と定めた
場合、その日は労働義務のない日になりますから、休業日が定められた後に申請された有給休暇を認める必要はありません。ただし、平均賃金の60%に
相当する休業手当を支払う必要があります。一方、会社が休業日と定める前に有給休暇の申請がなされた場合は認めなければなりません。
Q:退職予定者が有給休暇を取ろうとしたときに拒否することはできますか?
A:有給休暇は労働者の絶対的権利であり、会社は時季変更権を行使できますが、退職目前であればそれも難しいでしょう。引継ぎ等に支障がある場合は、
有給休暇を買い取ることで出勤を交渉することは可能です。有給休暇の事前買取りは違法ですが、この場合の買取りは違法ではないとされています。
Q:就業規則を定める場合や改定する場合に従業員の同意が必要ですか?
A:就業規則は労働基準法の基準と同等以上のものである必要がありますが、従業員の同意は必要なく会社が定めることができます。就業規則を労働基準
監督署に届け出る場合に、労働組合または労働者の代表者の意見書を添付する必要がありますが、必ずしも同意の意見書である必要はありません。
Q:試用期間を延長することはできますか?
A:試用期間を定めるには、就業規則に試用期間の定めがあることが必要です。また、試用期間を延長することがあると定めてある場合には、延長せざるを
得ない合理的理由があれば延長することができます。その場合でも本人とよく話し合い、延長する理由や期間を文書で通知するようにしましょう。
Q:休憩時間は一斉に与える必要がありますか?
A:休憩は、①労働時間の途中に、②一斉に付与し、③自由に利用 させなければなりません。ただし、運送業、商店、銀行、飲食店、娯楽場などの例外の
業種がありますし、例外業種でない場合でも、一斉に休憩を与えない旨の労使協定を結べば休憩を一斉に与えないことができます。
Q:賞与支給日前に退職したり解雇した者が賞与を要求してきたら?
A:賞与は毎月の給与とは異なり法律上の支給義務はありません。したがって、あらかじめ就業規則に「賞与は支給日に在籍していない者には支給しない」
という「支給日在籍条項」を設けておけば、退職日を自ら選べる退職者には賞与を支払う必要がありません。ただし、解雇の場合は注意を要します。
懲戒解雇の場合は支払いは不要ですが、会社都合による整理解雇の場合は、在籍日数や業績に応じて支給するのが妥当と考えられます。
Q:退職予定者の賞与を減額することはできますか?
A:賞与には、①賃金の後払い、②将来への期待・動機付け、という要素があると考えられます。
就業規則に賞与の意味合いについて記載がない場合には、②の要素は2割程度とされ、減額も2割しか認められなかった判例があります。就業規則に、
賞与は将来への期待・動機付けのために支給していることを明記しておけば、2割を超えて一定の範囲で減額して支給することも可能でしょう。
Q:解雇に関するトラブルを避けるには?
A:やむを得ず解雇する場合でも、権利の濫用にならないよう法律で定められた次の2つのルールを守る必要があります。
1.解雇する合理的理由が必要であり、それを立証する義務は会社側にあります。就業規則に解雇にあたる事由を必ず定めておきましょう。
2.解雇の30日以上前に解雇予告をする必要があり、解雇予告が30日に満たない場合は、解雇予告手当(不足日数分の平均賃金)を支払う必要があり
ます。ただし、労働者の責めに帰すべき事由に基づく場合は、労働基準監督署長の認定を得て解雇予告をせずに即時解雇することが可能です。
Q:試用期間中の者を会社側の事由で即時解雇できますか?
A:試用期間は「解雇権留保付契約」の状態とされ、通常の状態よりやや広い解雇権が認められており、客観的に合理的な理由があれば解雇予告をせずに
即時解雇することができます。ただし、ここでいう試用期間とは雇用後14日目までのことで、14日を超えて使用した場合には通常の労働者と同様の
解雇予告が必要です。なお、会社が試用期間を3ヵ月と定めても、法律上の試用期間は14日だけで、それを超えれば試用期間とは認められません。
Q:パートタイマーなどの有期雇用労働者を契約期間の途中で解雇できますか?
A:雇用期間に定めがある契約(有期契約)は、やむを得ない事由がある場合を除いて途中で解約することができません。やむを得ない事由とは、天災地変等 により事業の継続ができないといった理由に限られ、経済的理由はやむを得ない事由とは言えません。一方的に解約すれば損害賠償の対象になります。 なお、解約できないのは労働者側からも同様で、仕事がつまらないなどの理由で一方的に退職すると損害賠償を請求されることがあります。
Q:パートタイマーなどの短時間有期雇用労働者でも雇用保険に加入する必要がありますか?
A:1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ、31日以上雇用される見込みがある場合は、雇用保険に加入する必要があります。
31日以上雇用される見込みがあるかどうかはっきりしない場合もあるでしょうが、31日以上雇用されないことが明らかでない
限り加入する必要があると考えてください。
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